家族性前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia:FTD)の原因遺伝子としては、タウ遺伝子が多数同定されてきた(MAPT)。それ以外のFTDの大多数で、タウ陰性ユビキチン陽性の神経細胞内封入体(neuronal cytoplasmic inclusions:NCI)が出現することが知られており、frontotemporal lobar degeneration with ubiquitinated inclusions(FTLD-U)と呼ばれていた。その一群にprogranulin (PRGN)という遺伝子の変異が発見され、2006 年不均一核内リボ核酸蛋白(hnRNP)の一種であるTAR DNA-binding protein of 43kDa (TDP-43)が封入体の主要構成成分であることが同定され、FTLD-TDPの一種である。TDP-43 の細胞内蓄積は孤発性FTLD-U や筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)にもみいだされ、TDP-43の異常と神経変性の直接的な関係が証明される礎となった。