腎性貧血

開始量
保存期 11g/dl HD期 10g/dl
CKD 保存期  エナロイ2mg  ダーブロック 2mg ESAから 4mg 
血液透析        4mg         4mg 

昨今 糖尿病性腎症患者で 尿中アルブミンの増加を伴わず GFRが徐々に低下する非典型例が増加
背景としてRAS阻害剤による治療の普及や、血糖血圧等糖尿病の包括的管理が浸透したことで治療ターゲットとである糸球体の病変進展がある程度抑えられてきたことと その反面、高齢化を含むさまざまに理由から動脈硬化などの血管病変や 尿細管間質の線維化、尿細管萎縮などが進行して腎硬化症に近い病態を呈していることが指摘されている
非典型例は糸球体障害よりも尿細管間質障害的要素が強い腎硬化症に近い病態ある。糖尿病性腎症ではGFRの低下を伴わない段階で 微量アルブミン尿を呈し、顕性アルブミン尿に達した多くの患者で GFRが低下、一方腎硬化症では アルブミン尿の著しい増加を伴わずGFRが低下している患者が多く 糖尿病性腎症とは経過が異なることが示唆された
非典型例も典型例と同程度の心血管病のリスクを有している。両者の進展経路は異なるが、腎機能悪化が一定の閾値を超えると 共有の機序Final Common Pathwayをたどって不可逆的に進行している。腎臓病において、最初に考えられたFinal Common Pathwayは糸球体硬化であったが、最近では糸球体病変よりも尿細管間質病変のほうが腎臓病とよく相関することがわかってきて 腎臓病のFinal Common Pathwayは尿細管間質における慢性低酸素状態と考えられている 腎臓は大領の尿を濃縮する莫大なエネルギー消費臓器でありながら、腎実質の血流は決して大きくないことから低酸素に対し脆弱な臓器である 臓器の酸素分圧を評価する方法が確立(MRI)し、CKD患者では 腎機能低下とともに低酸素化が並行して進行することが明らかになっており、低酸素を意識した腎臓病の進展防止の必要性が高まっている
腎臓の低酸素化は RAS更新により糸球体輸出細動脈の収縮を介した血流低下が原因の一つとして指摘されている。糸球体の血流低下はその下流の尿細管間質の周辺毛細管血管の血流を低下させ、慢性的な低酸素化を招く 糖尿病性腎症に対する RAS阻害剤のロサルタンの腎保護効果はすでに確立しているが、腎臓の低酸素化の防止が一部寄与している可能性がある 一方もう一つの重要な要因としてエリスロポエチンの産生低下による腎性貧血があげられる EPOは尿細管間質のEPO産生細胞において産生されるが、腎障害によりその産生能は低下する
日本透析医学会の目標Hb値は11-13g/dlであるが、実臨床でのESA使用率は高くないESAによって陽気に治療を開始した群は 治療延期群に比し クレアチニンの倍増、腎代替療法、死亡の複合エンドポイントが発生が抑制される
一方糖尿病成人症は 他のCKD原疾患よりも 貧血の合併頻度が高い  重度の間質の線維化/尿細管萎縮は球体硬化とは独立して進行し、これと貧血の発症率は強い相関関係にある  生体には低酸素に対する防御因子として 転写調整因子HIFが備わっており、細胞が低酸素になるとHIFが活性化され、エリスロポエチンの産生増加を通して血球の産生等の低酸素応答が惹起される HIFは細胞内で産生され、速やかにプロリン水酸化酵素PHDで分解される 近年上市された HIF-PH阻害剤はHIFの分解を抑制して腎性貧血を改善する HIFの標的因子は後半に及び、その一つが 酸素運搬を担うEPO また 鉄代謝にも影響 フェリチンがー40μg/L トランスフェリン飽和後TSAT -11.7% 総鉄結合能TIBC +7.8 ヘプシジンー45.4%
鉄評価は 血清フェリチン値100ng/mL未満 TSAT20%未満で経口で100-200mg 静注は保存期は 40-80mgを 通院時に HDは40mgを週一透析終了時に              

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