肝炎ウイルス

B型 治療対象
乳幼児期に感染し持続感染でキャリアになる。肝障害もない免疫寛容期を経て成人に達すると肝炎を発症し、それが持続すれば治療対象。自然に免疫反応に追ってウイルスの増殖が低下し、HBe抗原が陰性になって肝炎が落ち着いた状態にある非活動性キャリアになる方が80-90%。これは治療対象にはならない。

治療対象を決めるのは
①一年以上の経過観察期間に3回以上血液検査でALT 30≧
②HBVDNA量が3.3LogIU/ml(2000IU/ml)未満でHBe抗原が持続的に陰性
③肝線維化がない

肝硬変ならHBV-DNAが陽性であればAST、ALTが正常であっても核酸アナログ製剤の治療を行う。肝硬変でないなら①ALTが31以上で ②HBV-DNA量が3.3LogIU/ml以上のときとなる。HBe抗原が持続的に陰性でも肝炎が続くと病状は進行していく。HBe抗原が陽性で活動性肝炎があるときに自然経過で陰性化し非活動性になっていく場合も多いのでどこまで待つか。30代後半でHBe抗原が陰性化しないとき治療を考慮。肝臓の繊維化が進んでいれば待てない。肝線維化糖鎖マーカーのM2BPGiが0.6以上。エンテカビル+テノホビル製剤2種のうち一つ。IFNはウイルス量が多い人にそのあとに引き続き使うことも。核酸アナログ製剤によって肝発がんが抑えられるし、肝不全も予防される。でも服用中でも癌になることもあり、治療後もずっと半年ごとに採血や超音波検査でのフォローが必要。核酸アナログ未投与で発がんした場合はがんの治療後核酸アナログを服用することで、再発防止や治療経過中の肝機能の悪化など長期的な予後を改善することになる。

HBVの再活性化 
キャリアでHBV-DNA量が10倍増えるか、HBe抗原陰性でHBV-DNA陰性で HBs抗体やHBc抗体が陽性の既往感染者においてHBV-DNAが再出現してしまうか。後者はde novoB型肝炎という。致死的になる可能性も高いので予防が重要。長期にわたる免疫抑制剤や化学療法ではガイドラインがあったが、喘息や突発性難聴、顔面神経麻痺に1-3週間短期間かつ高用量でないステロイドを使用する場合の指針を2019年8月耳鼻咽喉科学会が作成した。ステロイド投与と同時にHBs抗原を測定し、陽性なら核酸アナログ、陰性でも2週間以上ステロイドを使用する場合は抗体検査を行い陽性ならHBV-DNA量を測定し、陽性になった時点で核酸アナログの投与を行う。B型は一度感染すると、HBs抗原が陰性化しても再活性化の問題が付きまとうので予防が大事。
高感度CLEIA HBs抗原 88点は優れモノだが、現段階では HBV-RNA287点が感度として上回る。

C型はすべての人が治療対象。非代償期の肝硬変は使用薬剤が違う。ゲノタイプにより、また腎機能障害により使える薬が変わる。HCV抗体陽性でも低力価ではHCV-RNA量は陰性になる。この場合は排除できたと考えてよい。非代償性肝硬変と前治療不成功例は肝臓専門医に任せる。ウイルス排除後の発がんリスクは排除前のリスクと似通っていて、肝線維化、高齢、男性、治療後もAFP高値 ウイルス排除後いつまでサーベイランスを続けたらいいかというと少なくとも10年、年齢があがるに連れて、発がんリスクは上がっていくこともあり、高齢者は一生涯。ウイルス排除後に安心してお酒を飲んだり、肥満で脂肪肝による肝障害を合併する人もあり注意が必要。肝線維化はウイルスを排除するまでに遺伝子についた傷はなかなか修復されない。ウイルス排除により改善し、やわらかくなるが高齢で繊維化も進展した症例ではウイルス排除をしてもその後の肝臓の再生なども思わしくなく、発がんリスクもなくならない。排除後のM2BPGiが高いと発がんリスクが高くなる 1.7-2.0以上。C型は一度ウイルスが排除されても何度も感染するので注意。

A型
トラベラーズワクチン
男性同性愛者間の性的接触により感染が拡大

E型
献血者の高IgG抗体足底で日本人の5%が陽性。東日本、特に北海道。豚やシカなどの生肉摂取、十分な加熱調理が必要。HEV抗体検査(IgA抗体)保険収載。免疫能が低下した状態ではHEV-RNA(保険外) 陽性の慢性化も