急性腎障害AKI Acute kidney Injury

用語
AKI 急性腎障害
CRRT chronic renal replasement therapy、IRRT 、CHDF持続的血液ろ過透析
ICIs 免疫チェックポイント阻害剤
irAE 免疫関連副作用
ATN 急性尿細管壊死
RPGN 急速進行性糸球体腎炎

AKI診断基準2012 早期診断が可能となる
・48時間以内 △sCr>0.3 
・7日以内 基礎値の1.5倍上昇
・尿量0.5ml/kg/h以下が6時間以上持続
これまではベースラインの決め方が曖昧で入院による筋肉量低下で ベースラインよりさらに低くなることもあった 筋肉量の少ない症例では sCr基準値内でも0.6→0.9でAKIを発症したと診断できる
可逆的と思われていたが、中長期的なアプローチがないと数年に亘って腎機能が悪化する
CKD⇔AKI 加齢とともにCKDがAKIの重要なリスク
糸球体濾過量の低下から1-2日遅れて sCrが上がる
AKIステージ1-3 それぞれsCrが1.5倍 2倍 3倍
高齢者ではなかなかCrが上がらない
早期AKIの診断には並行して変化する尿細管障害マーカー 尿中ヒトL-FABP、NAGが有用
4大薬剤性腎障害 NSAIDs、抗がん剤、造影剤、抗菌薬
高齢でARBが入っている人がNSAIDsを使用してさらに夏場に脱水が加わると腎障害が起こる
PPIを内服している方でirAEとして急性間質性腎炎を発現しやすい 
院内発症では敗血症と心原性ショックや心臓外科術後 その他心不全に伴うものが多い

腎前性は腎血流量の低下 薬剤による腎灌流の低下を起こすもの 
輸入細動脈収縮のNSAID,カアルシニューリン阻害薬 
輸出細動脈の拡張でRAS阻害 
体液量を減少させる利尿剤 SGLT2阻害剤
腎性は薬剤アレルギーによる

腎実質障害としてアミノグリコシド系抗菌剤 プラチナ製剤 ヨード造影剤 バンコマイシン
メトトレキサートは尿細管壊死 
どの薬剤でも起こりうるアレルギー性は急性尿細管間質性腎炎をなることが多い
腎前性、腎性の見極めに Fluid challenge
ナトリウム排泄率FENa 1%以下ならNa再吸収の増加=腎前性で 腎血流量減って必死で再吸収FEUN
などが教科書的指標であるが、敗血症には使えない UNa*Pcr/PNa*Ucr


腎代替療法
AKIに対する薬物 フロセミド、低用量ドブタミン、心房ナトリウム利尿ペプチド
アンギオテンシンⅡは強力な血圧上昇作用 出口をより収縮させる

CRRT持続的血液浄化療法 
造影剤性腎障害の目安は eGFR45ml
3日前から ARB、NSAIDsはやめて 水分補給をしっかりしてから 
冠臓脈造影ではeGFR60ml
高齢者のANCA関連血管炎によるRPGN が増えている
抗甲状腺薬プロピロチオウラシルによる二次性のANCA関連血管炎も

敗血症AKI 
SA-AKI)に 期待される治療薬 アルカリフォスファターゼとアンギオテンシンⅡ 
壊死した尿細管上皮の再生を直接促すという作用での薬剤としてはミトコンドリア機能の保護薬が一番可能性がある

治療
原因究明 腎毒性薬剤や物質の回避、体液量評価

心腎連関 
CRStypeⅠ 急性心→腎 急性心不全に伴う腎血流量の低下に加え、うっ血腎の概念定着 急性心不全で AKIで無尿となった際に血液透析を施行すると数日内に尿が出てきてあたかも透析が腎臓を直したように見えるが、おそらく、体液管理(除水)によりうっ血が解除されて腎機能が改善していたのであろう。
CRStype2 慢性心→腎 
CRStype3 急性腎→心  体液過剰+RAS系の活性、交感神経の活性、電解質異常による不整脈
敗血症AKIの管理

肝腎症候群HRS
肝硬変に伴う内臓血管の拡張などによる有効循環血液量の減少を背景に感染、腹水穿刺、消化管出血などが誘因になって生じる

循環作動薬 ノルアドレナリン バゾプレッシン(ピトレシン)
拡張している輸出細動脈を収縮させることでGFRを増加させる
収縮期血圧90mmHg未満では糸球体内圧を維持できず、GERが低下するとともに尿細管への血流不足で尿細管が低酸素に曝される。臓器血流は平均動脈圧から CVPをひいた灌流圧に依存する。
利尿薬 腎内シャントは 随質に低酸素をもたらす
フロセミド1~4μg/kg/分 h-ANP0.02μg/kg/分 尿細管のエネルギー消費を抑えながらGFRを確保し、尿量を保つことで尿細管中の炎症性メディエーターやPAMPs DAMPs等の濃度を低下させるとともに尿細管上皮障害の結果として脱落したキャストによる遠位尿細管の目詰まりをふさごうとするコンセプト。血管内脱水ではRAASが刺激され、RAASの過剰亢進では輸入細動脈収縮させ、GFRを低下させる。

高齢者AKIにおけるRPGN
ANCA関連血管炎 (顕微鏡的多発血管炎MPA+多発性血管炎性肉芽腫症GPA) ステロイド、免疫抑制剤が有効 亜急性だが他の要因が加わると急性腎炎症候群ないし、AKIの経過を示すことがあるので腎炎尿所見を伴うAKIを見たときは鑑別に加える。腎炎性尿所見とは 糸球体制血尿(変形RBCを伴う多くは顕微鏡的血尿)、蛋白尿、赤血球円柱、顆粒円柱などの円柱尿のこと
抗糸球体基底膜腎炎(半月体形成糸球体腎炎)は活動性が高く AKIの基準を満たすことが多い。
抗GBM抗体 抗MPO-ANCA抗体 抗PR3-ANCA抗体をセットで測定