夜間頻尿は高齢者を悩ませる排尿障害である 男女ともにQOL支障度が高く、こ高齢者の転倒、骨折につながることからありふれた症状とはいっても、見過ごすことはできないと考えられる。夜間頻尿は多尿や膀胱畜尿障害、睡眠障害から起こることは以前から指摘されていたが、動脈硬化による血流障害の関与が示唆され、男性の夜間頻尿の改善には BPHとその背景にある生活習慣病の治療が必要であることが明らかになりつつある。多尿は水分過剰摂取や高血圧が、膀胱畜尿障害は BPHやOABが背景にある。生活習慣病が夜間多尿をきたすメカニズムを考えると、高齢者やCKDなど食塩感受性が強いケースでは 昼間の排尿だけではNaが十分出せないため、夜間に血圧をあげることで尿としてNaを排泄する必要が生じ、夜間多尿につながる。インスリンは糖を脂肪組織に取り込んで肥満をもたらすが、尿細管間質側のNa/K-ATPaseというNa輸送体に作用してNaを貯留させることで高血圧や心疾患の発症を引き起こす。夜間多尿の改善には昼間にNaをしっかり出せるようにサイアザイド系利尿剤を使用するといいことがある。
動脈硬化が進むとBPHふえることがわかった。
血管機能を測るFND検査(血管内皮機能検査)に注目。これは腕を圧迫し、開放したときに遊離される血管内皮細胞からのNOが、どれくらい血管を広げるかを超音波で調べる検査。血管内皮機能の低下で動脈硬化が進むと夜間排尿回数が増加する。循環器医は、前立腺肥大症などの下部尿路症状は動脈硬化が引き起こす最初の自覚症状の一つと考え、心筋梗塞や、脳梗塞を引き起こす危険因子と考えて治療することが必要だと訴える。血管内皮機能障害と動脈閉塞性疾患に、下部尿路閉塞が重なることで慢性膀胱虚血と酸化ストレスを介して 膀胱筋過活動から蓄膿症状を、排尿低活動から排尿症状が発現すると考えられている。
PDE5阻害薬:
血管内皮細胞からNOがでると平滑筋に伝わり、筋肉を弛緩させる物質cGMPサイクリック(GMP)が作られる。これはPDE5という酵素で分解される。このPDE5の働きを阻害することで、cGMPの働きを促し、下部尿路の筋肉を緩めて排尿状態を良くし、血管を拡張させて血流を増やす。PDE5は下部尿路症状をよくするだけでなく、血管機能そのものを改善させる働きもある点から注目
前立腺肥大 診断にはIPSS国際前立腺症状スコアや尿流測定、直腸診、超音波検査
前立腺肥大と前立腺がんは別の病気 肥大が進行して癌になることはない
メタボ因子を多く持つ人ほど男性ホルモンのバランスが崩れ、動脈硬化も進んで排尿障害が出やすくなる。血管の状態は排尿と直接関係がある。血管の弾力性が落ちてきた人も夜間の排尿回数が増える傾向にある。
前立腺肥大症の治療は
①生活習慣病の改善
②活性化した交感神経に働きかけ前立腺を緩め、尿を出やすくする α1受容体遮断薬 最近は膀胱の血流回復も期待できるPDE5阻害薬も登場